News Letter SS研HPCフォーラム2003 〜まとめ〜
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青柳睦 (九州大学情報基盤センター)
皆様、本日は長い時間どうもありがとうございました。

今回はHPCフォーラム2003ということで、蕪木企画委員まとめ役を中心に企画し、本日、皆様のご協力により滞りなくフォーラムを終えることができました。 最後座長したついでにまとめを何か喋れ、ということで何かお話しないといけないのですが(笑)。 テーマについて、企画委員の方でも色々と議論があったのですが、「グリッド」というのは色々なところでやっているので、今回は「HPCアプリの新たな領域」ということで、様々なシミュレーション分野において、一線で活躍されている講師をお呼びして、朝からずっと聞かせて頂きました。

まとめというか、私の感想なのですが・・・私が院生だった時代と比べて非常にシミュレーション適用分野が広がっていて、まさに朝の「経済物理学」など物性論や非線型力学のセンスを持った方々が、あのような経済現象のシミュレーションをされていて、しかも本当に面白い結果が出ていることに感心いたしました、と同時に・・もっと国のお金を使って欧米のように金融シミュレーションをやらないといけないのではないかと個人的には思いました。

次のE-cellの講演ですが・・、私はどちらかというとab-initioとか第一原理計算の経験しかないのですが、講演では、各種の数理モデルに基づいた偏微分方程式や常微分方程式、確率過程、統計理論等々、色々な技を使ってやって,原子分子モデルではまだ到底扱えない現象を見事に解析しておられるなぁ、という感想でした。

Simonさんの講演も素晴らしく、SciDACを例に、これまでの様に数学と計算科学屋だけでなく、広く計算機科学や情報分野の研究者,そして各種の応用分野の研究者が一同に集まりチームを組んで大規模なシミュレーションにチャレンジしている姿が印象的でした。

一連のご講演を通じて、敢えてまとめれば、非常に多様性が増して来たと同時に、シミュレーションがハイブリッドになってきたと思います。 ハイブリッドというのはどういう意味かと申しますと、今日のいくつかのご講演でも講演者がおっしゃっていたかと思うのですが、マルチフィジックスとかマルチディシプリン、マルチスケールなど、これまでの様な「部分」シミュレーションではなく、注目している系の「全体」を統合的に見直し、異なる物理階層や異なる数理モデルを融合(ハイブリッド)させて全体の振る舞いを予測する様な大規模なシミュレーションが増えて来た感じです。 三浦富士通フェロー(NAREGIリーダー)がグリッドの関係だから言う訳ではないのですが(笑)・・・、まさに色々な分野のコラボレーションによって今後のHPC分野がもっと発展していく、ちょうど今、前兆なのかなぁ、と個人的に感じました。

OCTAの講演について私が僭越ながら「分散シミュレーションも出来るのですね」と質問したのは、まさにそういう意味を込めてGOURUMT(グルメ)の中でSUSHIやPASTAなど、色々な美味しいものが「疎結合」で融合しあって、一つの大皿料理の上に乗っかっているのではなく、単品毎に京料理のように出てきて、お好きなものをお好きなタレをつけてどうぞ、みたいな・・ハイブリッドシミュレーション特有の課題を見越して設計されているなぁと感心いたしました。 と以上の様に、まとまらない「まとめ」で恐縮ですが、全体を通じ以上の様なイメージを持ちました。

最後にこの会を開催するに当たって、企画委員やSS研事務局の皆様が本当に献身的な努力をされてきました。 講師の先生方はもちろんのこと、SS研事務局の方々に、ここでもう一度盛大な拍手を頂いて、この会を終わりたいと思います。 今日はどうもありがとうございました。(拍手)

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