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開催趣旨


企画委員 : 矢島 鎗司(国士舘大学)

     皆さま、こんにちは。
    今日は久しぶりのいいお天気です。今年は天候不順であまり夏らしい夏ではなかったですが、今日は爽やかな暑さではないかと思います。もう既に夏を通り越して秋になってしまったようです。

     前年度に引き続き、研究教育環境分科会はe-Learningを取り上げます。前年度は「e-Learningは定着するか?」という主題で行いましたが、今年度も同じように「e-Learningは教育を変えるか?」というメインテーマで行います。第1回目の今日は「学生に選ばれるe-Learning」という副題をつけました。
     今日のプログラムですが、最初は大阪大学の阪大フロンティア研究機構の経営企画委員でいらっしゃる坂井 均也さんに『阪大フロンティア研究機構が企画したe-Learning「FRe-大学」4月開講』という題でお話していただきます。2番目は『ストリーミング技術を用いたレーザ工学のオンライン授業』ということで熊本大学総合情報基盤センターの秋山 秀典 教授にお話していただきます。
     途中休憩をはさみまして、後半は『DBMS機能を有するe-learningシステム』という題目で、総合研究大学院大学の及川 昭文 教授に、最後は、『Web形式学習教材「命令セットアーキテクチャ」の開発−学習者の性行を考慮した設計の必要性の一例−』という題で、日本大学工学部情報工学科の山本 登 教授にお話ししていただくことで進めていきたいと思います。

     研究教育環境分科会では、前年度に引き続き、今年度もe-Learningをテーマにしました。同じテーマを2年続けることになるので、話題が貧困のように見えるかもしれません。分科会の名称が持っている、「教育」「研究」を管轄しているのは文科省です。特に、教育=Learning/studyの部分については、文科省はあまり力を入れていないように思います。というのは、COEという名前で派手に「研究」をするように計画を打ち立てています。遠山文科大臣というのはパフォーマンスがお好きなようで、そういった事には非常に力をいれていらっしゃいます。しかし、「教育」分野では短大も含めると50%も進学率があるわけです。そういった状況を見た場合、COEで援助を受ける大学だけで、その50%を超える進学率の学生たちを収容する能力があるのかというと、全くそうではありません。その反面、開催のご案内を差し上げた際に、記載しました開催趣旨にもありましたように、休校に追い込まれるという大学の経営危機という別の問題も発生しています。
     大学が先端の研究を行って学生を送り出すという使命というのは、一昔前の教育システムであったのではないかと思います。すなわち、最先端の研究を基として教育を行えばエリートが作りだせるだろうという教育は、進学率50%の現在に通用するわけはなく、おそらく10%〜20%の進学率の時に機能していたことであろうということです。現在の50%を越える進学率の学生たちを対象としている大学教育には適応していないのではないと思います。こういう状況で、これをカバーしているという訳ではないと思いますが、企業ではe-Learningを用いてスキルアップを図る。企業内で教育を行わなくてはならないということになっていると思います。
     今年から法科大学院というものが誕生しますが、大学が弁護士というものを育成する、教育することに、どこか欠陥があったというふうに見ることができるのではないかと思います。教育を司る文科省にもそういう部分を考えていただきたいと思います。
     e-Learningとスキルという組み合わせを申し上げましたが、これ以外にもいろいろな組み合わせ、応用分野があるように思います。そういった部分を先進的な取り組みを行っておられる大学にこれからお話していただいて、考えていきたいと思います。よろしくお願いいたします。



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