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3.e-Learning普及の需要側の要因

3.1 高等教育人口の増大

3.2 学位再取得の経済効果

     それでは、なぜ、有職者が大学に戻って学位の再取得をめざすのだろうか。これは、アメリカ社会の労働市場の構造に起因する問題である。学歴別に給与が分断されているために、学位の再取得によって昇進や転職なども関わって、収入が大きく増加するのである。それを、表2より確認しよう。

    表2 学歴別年収
    (ドル)
    学歴 年収 学士を100.0としたときの比率
    高卒 30,400 58.2
    準学士 38,200 73.1
    学士 52,200 100.0
    修士 62,300 119.3
    専門職学位 109,600 210.0
    博士 89,400 171.3
    出典: U.S. Census Bureau (2002) The Big Payoff: Educational Attainment and Estimates of Work-Life Earnings, U.S. Department of Commerce.
    {http://www.census.gov/prod/2002pubs/p23-310.pdf}
    注: 25-64歳有職者の1997-1999年の平均年収。

     ちなみに、学士の学歴所有者の年収を100とすると、高卒者はその60%弱、準学士は約70%でしかなく、2年から4年の教育年数の差が、これだけの給与の差となっているのである。学士と修士の間にはさほど大きな差はないが、MBAに代表される専門職学位になると学士の2倍の年収を得ることができるのである。それは、学士と博士の差よりも大きく、給与という点で専門職学位の市場価値の高さを明らかにみせている。たとえば、MBAの場合、学士号を持っている者が、最短で2年、通常3年のe-Learningによる学習を経てその学位を取得すれば、年収が2倍になる可能性が秘められていることが、多くをe-Learningに向かわせている、第2の条件と考えてよいだろう。



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