News Letter「ドメイン名と紛争処理の現状」(3/17)

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何が問題なのか。 まず、「インターネットの急激な拡大」というのがある。 インターネット人口がどんどん拡大していくと、情報空間という側面とあわせて、Eコマ−ス(商業空間)と言う意味でも、インターネットが非常に拡大しているという現状がある。

このような中で「ドメイン名の役割あるいはドメイン名が一般から見られる見られ方」が変わってきている。 ドメイン名というのはネットワーク上の識別子で、元々IPアドレスというものが存在するが、IPアドレスの番号を覚えるのは大変だし、物理的なコンピュータの位置が変わるとIPアドレスもそれに伴って変わる、という性格があるので、人間にとって分かり易い名前と言うことでドメイン名というものがマッピングされている。 元々インターネット上のホストの識別子だったのが、昨今ではWebサイトにどれだけ分かり易い名前をつけるかということで、Eブランドとも言われるが、1つのブランディング手法、あるいはツールとしてドメイン名が使われ始めている。 つまり、元来identifierだったものがidentityを示すものに変わって来ているのではないかと言われている。

それに伴い、今まで考えられなかった問題”紛争”というものが出てくる。 それが今回のテーマである ドメイン名と商標との間で発生する問題で、広く知的財産権とも言うが、一番問題なのは商標である。 人名の問題、会社名(称号)の問題、広い意味では知的財産権とドメイン名の抵触という問題になるが、ここでは商標ということに注目して話しを進める。

ドメイン名と商標に絡んで発生する問題を大きく2つに分けると、1つは権利者間における争い。 2者が争っているとして2者共に正当な権利を持っている(商標権を持っている)ことでひとつのドメイン名を争っている。 どちらか一方が既に登録している場合など、権利がある2者間で1つのドメイン名が争われているという問題。 もう1つは、悪意による不正なドメイン名の登録使用。 2者間で紛争が起きた場合で、既にドメイン名を登録している側が、実はドメイン名に関しては何ら権利を持っていなくて権利者に対し後から高額転売する、権利者を邪魔するためにわざと先取りする、などの悪意に基づいた不正なドメイン名の登録という問題があり、後者を称して”サイバースクワッティング”(サイバースペース上における不法占拠)という言葉が使われている。
 

©Copyright 2001 by Toshihiro Tsubo

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