News Letter HPCミーティング2001 〜Q&A〜
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"Interactive Digital Models of the Milky Way Galaxy and Surrounding Intergalactic Space"に対するQ&A
 
1.会場にて
 
Q : 系外銀河の分布の表示で色がついているのはどういう意味なのか?
A : 色は銀河の密度をあらわすと思ってよい。 Brent Tully氏(註:系外銀河のデータベースを供給したハワイ大学の天文学者)は密度が一番高い部分には赤を用いている。 たとえばおとめ座銀河団(Virgo Cluster)は赤い。 宇宙論の研究のために、宇宙での銀河の大規模な分布構造(Void, Sheet, Strandなど)をより分かりやすくするために色をつける工夫がなされている。
 
Q : データサイズ、オブジェクトの数はどれくらいか?
A : ここで示されたデータは圧縮して20MB位で大したサイズではない。 これは観測データだけで星の座標,明るさ,色が含まれる。 さらに詳細にどのような天体がどれ位含まれているかはペーパーがあるのでそれを参照して欲しい。 銀河のモデルを統計的に作ったものが別にある。(註:これはプラネタリウム用で今回のデモには含まれていない模様。) 天の川銀河には2000億もの星があるわけだが、ここで採用している統計モデルでは暗い等級を省いて10億位の星を含む。 この程度がリアルタイムで星を映すことのできる限界である。 統計モデルを複数台のOnyxコンピュータのグラフィックスパイプラインに分解してロードするのに、約15分かかる。 GBのオーダである。 なおTully氏の系外銀河のアトラス(データベース)の方には28000の銀河が登録されている。 このサイズとしては画像データが大きい。
 
Q : M57(琴座環状星雲),M13(ヘラクレス座球状星団)など星以外の天体は2次元画像がはめ込まれており、フラットである。 そばを通過する時に不自然にならないよう3次元的に見せる方法は考えられるのか?
A : もちろんその点は、どういう風にやったらよいか、リアルタイムで妥当な見せ方をするためにはデータをどう管理するかモデルのデータサイズはどうなるかいろいろ検討している。 先ほどオリオン大星雲の3次元Volumetric表示の例をあげたが、あれを実時間アニメで見せるには非常に計算コストがかかる。 このようなモデルをプラネタリウムに取り入れるにはまだしばらく時間がかかるだろう。 ひとつのアイデアとしてはポリゴンモデルを採り入れるやり方でまずオリオン大星雲でやってみようと思っている。 プラネタリウムのデモにあるオリオン大星雲は今は2次元画像だがまわりの星団はすでに3次元データなのでこれに3次元化した画像をうまくあてはめれればと思っている。 さらにやりたい事としてマルチスペクトルの表示技術がある。 つい最近国立天文台の海部台長がニューヨークにこられた時に、スバルの赤外光での画像を提供してもらって重ね合わせて表示する話をした。 これからの開発として環状星雲、へリックス星雲などついてはすでに3次元のモデルがあるので画像の3次元化の候補と思っている。

(以上英語)
 
[理化学研究所 戎崎]
最後にコメントをさせていただきます。 直球勝負でただサイエンスのデータを見せるだけで、タレントとかアニメキャラクタなしでもこれだけ面白いものができると言うことは我々科学者にとって非常に大切です。 理研でも同様なことをやりたいと思っておりますがなかなか実現しません。 なんとかして日本にもこういうものが欲しいと思って今回Emmartさんに来ていただいた次第です。 ありがとうございました。(拍手)

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