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開催趣旨


企画委員 : 土田 昭司(関西大学情報処理センター)

     土田でございます。今日はサイエンティフィック・システム研究会研究教育環境分科会の第1回目の会合です。今回のテーマはデジタルキャンパスという大きなテーマです。SS研の組織体の中で研究教育環境の分科会が作られていることに象徴されているように、コンピュータそのものについて議論するよりも、そのコンピュータのシステムをどのように使うかということを議論しないと、コンピュータそのものの議論が始まらないという時代になってきました。今回のテーマはその流れに沿ったものと考えております。

     デジタルキャンパスが注目を集めている理由はいくつかあります。少子化の時代になり、学生数が減少してゆく事。大学の資源をどう活用しようかという事。そしてもう一つには、外圧も多少あるようです。MITが上海など海外に対してその教育内容をインターネットを使って提供する事業を進めています。その中で日本の大学が世界の中で生き延びるためにはどういう策をとらなくてはならないか、ただ単に一定の場所に学生に集まってもらい教育を行うという形ではこれからの大学が世界の流れについていけるか、というような思いもデジタルキャンパスが注目される理由となっていると思います。

     これまでの大学教育は、キャンパスの中、すなわち閉じられた世界で教育を行っているので、公開といってもどのような教育がされているかあまり他大学や世間には見えないものでありました。しかし、デジタルキャンパスになると、誰でも見ることのできる環境になりますので、どこの大学の教育はこんなことをやっているという形で評価にさらされることになります。教育内容の競争ということが、当然起きると思います。これには良い面と悪い面があります。競争が起これば、当然「勝ち組」と「負け組」ができますので、淘汰が始まります。良い教育だけが残って悪い教育は駆逐されるとも考えられますが、しかし一方で、少数の勝者が教育を独占する可能性もあります。それは教育内容の独占ということでして、例えば、日本中でこの分野に関しては一種類のことしか教えないという事態も起こりかねません。その舵取りはこのように非常に難しいのですが、やらねばならないということだと私は思います。

     デジタルキャンパスに関しては、(社)私立大学情報教育協会(以下、私情協)のもとで、サイバー・キャンパス・コンソーシアム(CCC)として、私立大学を揚げて研究し推進しようという大きな活動が始まっております。本日はその私情協の常務理事でいらっしゃる、明治大学の向殿先生から、基調講演のお一人として「私情協としてのデジタルキャンパスの取組みについて」お話いただくことになっております。

     また、基調講演のもうお一人は、東北大学附属図書館事務部長の済賀氏です。いま大学の教育のお話をしましたが、大学も組織体ですので、運営等が必要なります。デジタルキャンパスを実現するために、ハードウェアを含めて、大学がどういう運営体にならなくてはならないか、ということに関してお話いただきます。東北大学では情報シナジー機構というものを立ち上げられて、先端的な試みをされていると伺っております。

     事例報告として、日本福祉大学通信教育部事務室長の木野村氏よりお話をいただきます。こちらは先端的な大学で、日本で最初にインターネット学習を実践したとのことです。特に、社会人や障害者向けの在宅学習、言い換えれば、教育のバリアフリー化を進めている、先端的な試みをされている大学の事例を報告していただきます。

     もう一つの事例報告は、関西大学就職部の辻川氏より、携帯電話を使用して学生に就職情報を提供する試みをお話しいただきます。現在はiモードだけのサービスとのことですが、今後、他社のサービスにも対応するシステムを関西大学で考えられているようですので、そちらも触れながら事例報告をしていただければと思っております。

     また、富士通のWebメールシステムの紹介や、コンテンツ・マネジメントの技術紹介もございます。

     こういうことで、半日の分科会ではございますが、みなさん、ご協力の程よろしくお願いいたします。


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