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平成12年度科学技術計算分科会 第1回会合


テーマ:VPPの現状と並列分散コンピューティングの動向


【開催趣旨】
 本会合では最近の科学技術計算に対する幅広い会員の関心に応えるべくベクトル、スカラ、PCクラスタ等の会員各機関・富士通からの最新の経験・製品の報告を行う。
 ベクトル機については会員所属機関において新世代のベクトル並列機が導入され各システムにおける利用・運用技術が蓄積されつつある。
 本分科会では、これらの技術のなかで、各分野のアプリケーションのベクトルおよび、ベクトル並列性能評価とともに大規模システムの運用経験の報告を受け、会員相互間の情報交換、問題解決を図ることを目指している。
 スカラ機については富士通より新スカラサーバについて、プラットフォーム, 言語機能を中心に報告を行う。
 PCクラスタについては理研より最新のシステム構築経験・実績の報告を聞き、注目を集めている新技術について、議論を深める予定にしている。


1.日   時: 平成12年9月8日(金) 11:00 〜 17:50

2.場   所: 富士通(株) 丸の内センタービル 20階 大会議室
               〔所在地〕東京都千代田区丸の内1-6-1 〔電 話〕03-3216-3211(代表)

3.企画委員:  金澤 正憲(京都大学大型計算機センター)
           藤井 孝藏(宇宙科学研究所)
           福田 正大(航空宇宙技術研究所)
           野田松太郎 (愛媛大学工学部)
           奥田 基  (システム本部計算科学技術センター長)
           大空 瞭  (ソフトウェア事業本部)
           川上 泰雄 (システム本部西日本システム統括部公共システム部)
           高津 進  (システム本部科学システム統括部宇宙システム部)

4.検討内容:
  
(敬称略)
−司会−  藤井企画委員

(1) 開催趣旨  金澤企画委員 【11:00 〜 11:05】
(2) ベクトル並列機性能事例報告

 1) VPP800における大規模プラズマ粒子シミュレーション  


【11:05 〜 11:40】
    報告:25分 Q&A :10分
宇宙科学研究所 篠原 育

 宇宙空間プラズマの研究では、最近の高精度なプラズマ速度分布関数データ等からプラズマ粒子の運動論的効果の重要性が明らかになってきた。プラズマの運動論的効果を理解するのに計算機による粒子シミュレーションは非常に有効なツールである。粒子シミュレーションは計算機に膨大なリソースを要求するが、最近のスーパーコンピュータでは観測結果と比較するのに充分な計算ができるようになってきた。ここでは、宇宙科学研究所のVPP800/12における粒子シミュレーションの性能評価、他機種との性能比較の報告を交えながら、VPP800によって初めて見えてきた計算結果等について紹介したい。

 2) VPP5000による乱流の直接数値シミュレーション   【11:40 〜 12:15】
    報告:25分 Q&A :10分
東京理科大学 河村 洋

 乱流は複雑な現象であるが、最近のコンピュータの進展により、第一原理のみに基づいて、コンピュータ上に乱流を再現することが可能になっている。これを乱流のDNS(Direct Numerical Simulation)と呼んでいる。その際、乱れが激しい乱流ほど、より大きな計算量を必要とするため、乱流のDNSはスーパーコンピュータの発達に依存するところが大きい。ここでは、VPP5000によって可能な乱流DNSの現象、その位置づけ、他のVPP系計算機との比較等について紹介する。

 3) NAS Parallel 1.0を用いたVPP5000性能評価   【12:15 〜 12:50】
    報告:25分 Q&A :10分
九州大学応用力学研究所 矢木雅敏

 九州大学応用力学研究所では平成12年3月より高速演算サーバVPP5000/2(19.2GFLOPS)およびアルファーサーバES40/3(16GFLOPS)を中核とした汎用計算機システムの運用を開始している。今回のベクトル・並列計算機の機種選定にあたってはNAS Parallel 1.0を用いた性能評価を行ったのでその結果を紹介する。あわせてプラズマ乱流解析用に開発したスペクトル法に基づくシミュレーションコードによるベンチマークテストの結果も紹介する予定である。
< 昼食 > 【12:50 〜 13:50】
−司会−   野田企画委員

   

 4) VPP5000/56の性能測定と運用経験について  


【13:50 〜 14:25】
    報告:25分 Q&A :10分
名古屋大学大型計算機センター 永井 亨

 名古屋大学大型計算機センターでは1999年12月にスーパーコンピュータシステムをFujitsu VPP500/42からFujitsu VPP5000/56に更新した。
 いくつかのベンチマークジョブを用いてVPP5000の性能を測定した結果を報告する。また、VPP5000の運用経験、特に、並列ジョブの多重実行を運用にのせるまでの経過を報告する。

(3) ベクトル並列機運用事例報告

 1) 宇宙科学研究所 VPP800/12システムにおけるジョブ制御報告  


【14:25 〜 15:00】
    報告:25分 Q&A :10分
宇宙科学研究所 篠原 育
富士通(株)システム本部科学システム統括部宇宙システム部 松井秀司

 宇宙科学研究所では、平成11年3月に VPP800/12システムを導入し、運用を開始した。運用開始に当たり、PEの有効利用や柔軟なジョブ制御をキーとした独自のジョブ制御プログラムを設計・開発し運用しており、非常に高い利用効率を実現している。ジョブ制御プログラムの具体的な内容を紹介するとともに、導入経過及びその効果について報告する。

 2) VPP800の新しい運用形態を求めて   【15:00 〜 15:35】
    報告:25分 Q&A :10分
京都大学大型計算機センター 平野彰雄、浅岡香枝、金澤正憲

 京都大学大型計算機センターは、1999年3月にVPP800/63を導入し、サービスを開始してから1年を越えている。ここでは、利用形態、利用状況の変化を紹介し、今後の運用形態、マシンおよび利用者からみた効率良いサービスの目標を検討する。

< 休憩 > 【15:35 〜 15:50】
−司会−   福田企画委員

(4) スカラ並列機の新機種紹介(GP7000F上位機)

 1) 新UNIXサーバPRIMEPOWERについて  


【15:50 〜 16:10】
   [資料(HTML)] 報告:20分 Q&A :16:25〜[2)と合同]
富士通(株)コンピュータ事業本部ビジネス統括部PRIMEPOWERビジネス推進部 酒井利弘

 富士通は新UNIXサーバとして "PRIMEPOWER" を発表した。"PRIMEPOWER" はOSにSolarisを採用し、世界最高のスケーラビリティと高信頼機能を実現している。採用しているプロセッサはSPARC64 GPの最新チップであり、450MHzの動作クロックと分岐予測の強化による性能強化と、1/2次キャシュを全てECC化することにより高信頼性を実現している。また、最大128CPUまで均一なレーテンシィを持つ高帯域クロスバー(57.6GB/S)により、高いスケーラビリティを実現した。この新UNIXサーバについてプラットフォームの観点から報告する。

 2) Parallelnaviについて 〜プログラム開発環境を中心に〜   【16:10 〜 16:35】
    報告:15分 Q&A :10分[1)と合同]
富士通(株)ソフトウェア事業本部ミドルウェア事業部コンパイラ技術部 青木正樹

 PRIMEPOWERシリーズのHPCソフトウェア製品の中核を成すParallelnavi 1.0の出荷を予定している。ここに含まれる言語処理システムは、PRIMEPOWERシリーズのハードウェアの特徴である高性能プロセッサ、および大規模スカラSMPの性能を最大限に引き出すためのプログラム開発環境を提供している。また、ParallelnaviのOS機能と連携することにより、効率的なプログラム実行環境を実現する。ここでは、このPRIMEPOWERシリーズの言語処理システムについて概略を報告する。

(5) PCクラスタはPoor Man's Supercomputer   【16:35 〜 17:35】
    報告:45分 Q&A :15分
理化学研究所 姫野龍太郎、重谷隆之、  
 北陸先端科学技術大学院大学 黒川原佳

 PCクラスタは従来の一部マニアのものではなく、簡単に導入できる価格性能比の良い計算機プラットフォームになってきた。最大の問題であるMPIによる並列化も、小規模なシステムであれば、かなり簡単に性能を引き出すことができる。ここでは小規模なクラスターの導入に関わる手間・コストを示すとともに、姫野BMTを使って書き直しに必要な手間と性能の関係を調べ、報告する。また、更なる性能を目指したときにボトルネックとなる問題点とその解決策も挙げる。

(6) まとめ  金澤企画委員 【17:35 〜 17:50】


以 上

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