この度、SS研の会長を仰せつかりました高エネルギー加速器研究機構の渡瀬です。 SS研は、昨年20才を迎え、新たな時代に対応した研究会として再スタートを切られたと思います。 このような時期に会長をお引き受けするのは大変なことであると、改めて思う次第です。 今までSS研の会長は、松尾会長の代までずっと大学の大型計算機センター長がおやりになり、より幅広い視野で活動をされてきたと思いますが、私は、一研究分野の研究所におりますので、その点、総合的な立場での問題提起ができないかとも思います。 しかし、実質的には、幹事の優秀な先生方が大勢おられるので、心配はないと思う次第です。
昨今の計算機の世界での話題といえば、一時期、成長が止まるかと言われていましたマイクロプロセッサーの速度が、実際は、未だ上限が見えてきていないほど進歩していることです。 しかし、その投資に耐えられるだけのチップに厳選されてきましたが、進歩は続いています。 PCの性能の向上と共に、コストパフォーマンスの上で、いまやワークステーションを抜き、大学などを中心に、個人での研究や研究室レベルでの計算ニーズは、PCで十分対応できる状態になってきました。 このため、計算機に対するニーズの形態として、今後は二極分化がいっそう進むだろうと思います。 一方は、PCベースのシステムで十分である研究教育と、また、一方はあくまで最高速を必要とする、HPCの世界であります。 前者の方が圧倒的に多数でありますので、これへの対応も十分に研究する必要があると思います。 しかも通常の研究活動で必要な計算機は、計算するのみならず、情報処理システムとして知的活動の道具としての役割があります。 また、これらをつなぐネットワークも早い勢いで、技術はもとより社会的な環境も変化しております。 このようなハードウエア面とともに、ソフトウエアに関しても、HPCでは依然として、FORTRANベースの言語が最適であるように見られますが、一方、PCベースの研究教育では、もはやFORTRANではなく、C、C++、Javaに移りつつあります。
こうしたことは、われわれの意図したことではないばかりか、想像を超えるペースで物事が進展しているのが現状です。 さらに、21世紀にむかって、国の在り方と共に、大学研究機関への期待も大きく変わる気配を感じます。 このようなウェーブのなかで、大学研究機関での情報関連センターの役割もまた、いっそう改変して行かなければならない状況が迫っているように、痛感致します。 SS研会員の抱える問題は共通のものがあるわけですから、今後、大いに議論できることと思います。
すでに各分科会の企画委員会で多岐にわたるテーマについて検討が進められておりますが、その時期に即したテーマについて、何らかのまとめをつくり、成果として残すことができないか、検討してみたいと思います。
皆様とともにSS研が会員相互の発展に有意義な研究会であるよう、微力ながら努めさせて頂きます。