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第33回通常総会 会長挨拶

会長  村上 和彰(九州大学)

 皆さま、サイエンティフィック・システム研究会第33回通常総会に、お忙しい中、ご出席いただきまして、どうもありがとうございます。3月11日の東日本大震災の影響で、この総会にどの程度ご出席いただけるだろうかと心配しておりましたが、多数の皆さまのご出席を賜りまして、誠にありがとうございます。
 本日の招待講演、特別講演をお引き受けいただきました国立天文台の観山先生、宇宙航空研究開発機構の川口先生、どうもありがとうございます。また、賛助会員である富士通殿からも多数のご出席をいただいております。特に山本社長にはお忙しい中、ご出席いただきまして、どうもありがとうございます。
 さて、3月11日の震災を受けまして、SS研の会員として、この2か月の間にいろいろ考えさせられるところが少なくとも3つございました。
 一つ目はシミュレーション技術でございます。今回のような津波、あるいはそれ以外の自然災害の様々なリスク要因に関して、それがどのような影響を及ぼすか、それに対してどのような対策を施したら良いのかということです。予測して予防することを考えなければなりません。我々のシミュレーション技術というのは、実際の予防にはまだまだ役に立つところまでは及んでいないのかなという危惧を持つと同時に、もっとこの技術を伸ばしていかなければならないかなということを強く感じた次第でございます。
 二つ目でございますが、このSS研会員の皆さまは、大学あるいは研究機関において、計算機サービス、あるいは情報基盤のサービスを担当されている方が多数いらっしゃると思います。今回の被災を受けまして、東北地方、東日本地方のいくかの大学研究機関においては、サービスを中断しているところがまだあると思います。日頃から、このようなリスク、危機が発生したときに、組織が継続して業務をどのようにして遂行していくか、サービスを提供していくか、いわゆるBCP(Business Contingency Plan)の重要性を再認識した次第でございます。今後、このような災害は、もう受けたくはありませんが、地震はある周期で発生するものですので、やはり後世のためにも今回の震災の経験を通じ、実効性のあるBCPをどのように実施していくかということがとても重要ではないかというふうに考えている次第でございます。
 三つ目でございます。もう少し広い視野で見ますと、我が国全体の社会情報基盤、ITインフラというものが、今後どのようにもっていったら良いのかということでございます。例えば携帯電話が震災直後不通になったとか、そのため家族同士のコミュニケーションが取れなくなったということを見ますと、やはり、いまのITインフラはまだまだ盤石ではないのではないかというふうに考えております。そのような不足している部分をどのように補っていくか、もっと新しい技術、新しいインフラというものを作れないのかといったところまで、考えていく必要があるのかなと思っております。それはコミュニケーションだけではなく、最初にお話ししましたシミュレーション技術と結びつけることが必要かと思っております。例えばセンサーネットワークの中に、我々が深く関わっておりますスーパーコンピュータをHUB的に配置し、センサーから上がってきたデータに対して、速やかに何らかのレスポンスを発することで、できるだけ被害を小さくするといったような、防災・減災のための社会インフラ、社会情報基盤というものを今後は考えていく必要があるのかなというふうに考えております。
 今回の震災で、我々、サイエンティフィック・システム研究会の会員としてやるべきことが、いろいろと明らかになったと思っております。本日の総会議事で2011年度の活動計画についてもご審議いただきますが、活動のいろいろな側面で反映されているかと思います。
 本日の招待講演と特別講演は非常に夢のある話でございます。そういう夢を実現するためにSS研としてどのようなことを実施していったら良いのか、そのためには安心安全をどのように確保していったら良いのかということにつきまして、ご議論いただければというふうに思っております。
 本日は一日よろしくお願いいたします。(拍手)

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