ホーム > 資料ダウンロード > ニュースレターCD-ROMホーム > システム技術分科会 2010年度第1回会合 講演資料 > 講演

[講演2]
クラウドコンピューティングの全面適用とその効果

講演者


静岡大学 井上 春樹

アブストラクト

 今、企業・学校・自治体など組織を管理する情報システムには従来では考えられなかった様な幅広い機能、性能が求められるようになってきています。
 すなわち、(1)環境負荷の最小化(Green IT)、(2)情報セキュリティシステム(ISMS)の確立、(3)大災害時の業務継続性(BCP)の確立、(4)ITコンプライアンスの遵守、(5)IT投資コストの最小化、などです。
 「これらのうちの一つを達成することさえ困難なのに全部を満足することなど到底できない」と感ずるのは当然のことですが、それは従来のITの考え方のみをベースに検討しているからだと思われます。
 これに対し新しいコンセプトである「クラウドコンピューティング(CC:Cloud Computing)」の全面的活用方向に舵を切ることにより、それらのすべてを高い水準で満足できる可能性が出てきました。
 2006年頃にくっきりと姿を現しだしたCCは急激にその知名度を上昇させ、2010年現在に至ってIT分野を覆い尽くすような印象を与えつつあります。しかし、我が国の状況をよくよく観察すると、CCを全面的に適用して満足な効果が得られている事例は驚くほど少ないことがわかります。
 CCに関するセミナーや講演会は数限りなく行われているにも関わらず、CCを全面的に適用し成功した例は一向に増えません。また「講演者の多くが実は自身でCCに実際には触れたことが無く、欧米の状況を聞きかじっただけ」という滑稽な状況も垣間見えます。一体これはどうしたことなのでしょう。
 現在のCCは非常に混乱した状況にあります。IT大手ベンダー、メーカーにとってCCは強力な武器であると同時に、そのビジネスの根本を揺るがしかねない「危険な罠」でもあります。なぜならCCを進めれば進めるほど、従来のITビジネスが衰退するからです。
 結局「メーカー」「ベンダー」「ユーザ」の全てがCCと言う「踏み絵」によって、彼らのIT中長期戦略の正しさを問われているのだと思います。
 静岡大学では、この様な流れの中でクラウドコンピューティングをベースとした情報基盤の全面的な更新検討を2006年から開始し、2010年3月時点で、従来とは異なる考え方の情報基盤の構築を完了し、実際の教育・研究支援を開始しました。現在は詳細な検証中ですが、それにも関わらず非常に大きな成果が得られつつあります。
 今回の講演では、CCの混沌とした現状を説明し、次に静岡大学と関連施設でのCC全面適用事例とその検証結果を紹介することで、CCの全面適用の具体的手順を示し、最後に現在のCCの本質的な課題を述べたいと思います。

キーワード

クラウド, 全面適用, 仮想化, Green IT, ISMS, BCP

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