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2007年度合同分科会 「ICT社会を支える人"財"像」 討論会・趣旨説明

討論会「ICT社会を支える人"財"像」の開催にあたって


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写真_天野氏

九州大学情報基盤研究開発センター
准教授  天野 浩文

 
アブストラクト
 人材に"人財"の文字を当てた今回の討論会セッションでは、ICT社会においてはどのような"人財"が必要なのか、"人財"を育成・発掘・処遇するために教育機関や産業界ひいては社会が従来備えていたしくみがICT社会ではうまく機能しているのか、そうでないとしたら今後どのようなしくみを整備していかなければならないか、といったことに焦点をあててみたいと思います。そこで、人材を育成する側および人材を採用する側の両方のパネリストの方々からの話題提供をいただくとともに、会場におられる多くの方々との間で活発で多様な質疑討論が行える場をご用意いたします。
キーワード
人材育成、人材開発、人材登用、人材確保、人材評価、ICT技術者
 



  1. はじめに
     今回の合同分科会の告知では、以下のような趣旨説明をしています。

     「団塊の世代」が定年を迎えていくことが社会に与えるさまざまな影響を懸念する「2007年問題」は、ICT業界においてこの世代が担っていた技術や構築したシステムがうまく継承されるかどうかを危惧したことが端緒であるとされている。しかし、従来にも増して情報通信技術が重要な社会基盤や産業活力を提供する現代社会においては、単なる既存の技術やシステムの継承だけでなく、さまざまな職種・業種においてこれまでは求められなかった新たな技術・能力を有する人材を育成・確保していくこともまた急務となろう。また、このような人材の重要性を際立たせるために、"人財"という字を当ててもよいのではないだろうか。
     そこで、今回の合同分科会では、ICT社会のさまざまな場面において今後どのような"人財"が求められるか、教育機関や企業はそのような"人財"を必要な数だけ育成する能力を有しているか、などについて、情報交換や討論を行いたい。

     毎年、合同分科会の企画会議では、企画委員がいろいろとアイディアを出し合ってその年の合同分科会全体の「テーマ」を決めます。今年が2007年であることから、「今年は『2007年問題』かなぁ…」という声が挙がりました。
     ここで、この「2007年問題」だけに注目すれば、それはやや後ろ向きとも言える単なる技術継承の問題だったかもしれません。しかし、必要とされる知識・技能を有する人材が十分な数だけ育成され、社会の各方面に迎えられ、それぞれの職場で適切に処遇され確保されているとしたら、そもそも「2007年問題」を心配する必要はなかったはずです。また、今後も急速な拡大を続けるICTとそれに大きく依存する社会においては、技術を維持継承するだけでなく、それをさらに高めていくことも重要だと考えました。
     開催趣旨の冒頭で「2007年問題」に言及しながら最終的には人材育成・確保に話がつながっているのは、企画会議におけるそのような議論の流れを踏襲したものです。

  2. パネリストの方々
     今回の討論会では、ICT社会においてはどのような"人財"が必要なのか、“人財”を育成・発掘・処遇するために教育機関や産業界ひいては社会が従来備えていたしくみがICT社会ではうまく機能しているのか、そうでないとしたら今後どのようなしくみを整備していかなければならないか、といったことに焦点をあててみたいと思います。そこで、人材を育成する側および人材を採用する側の両方のパネリストの方々からの話題提供をいただくとともに、会場におられる多くの方々との間で活発で多様な質疑討論を行いたいと思います。
     今回のパネリストをお引き受けくださったのは、以下の皆様(順不同)です。お忙しいところ快くお引き受けくださった皆様に、この場をお借りして心より感謝申し上げます。
    • 愛媛大学大学院理工学研究科電子情報工学専攻長・教授 小林 真也 様
    • Google Japan 代表取締役社長 村上 憲郎 様
    • 明治大学情報基盤本部 本部長・教授 阪井 和男 様
    • 富士通株式会社次世代テクニカルコンピューティング開発本部 本部長 木村 康則 様

  3. おわりに
     「人材○○(育成,発掘,獲得,確保,評価etc.)」は,現代社会において分野を超えた共通の課題だろうと思います。ですから、フロアにおられる参加者の皆様にも、例えば以下のような観点で、ご自身のご経験やご意見があろうかと思います。
    • ITC技術者に対する需要と供給、あるいは、要求される技術レベル(スキル)の分布と現在の ITC技術者のスキル分布といった観点からの、統計的・分析的な知見
    • ITC技術者の能力を最大限に発揮させるための、ユニークなアイディアをお持ちの方、あるいは、その実践事例
    • 過去のヒット商品あるいはイノベーションの陰に、どのような人材の貢献があったのか、あるいは、人に力を発揮してもらうためにどのような取り組みがあったのか
    • 「人材◯◯」に関する新しい取り組み
    • 人材発掘、採用選考等の現場での従来の制度の改革等の経験、あるいは、そこから得られた今後の動向やあるべき姿についての意見
     討論会の会場にて、壇上におられるパネリストの方々とフロアにおられる参加者の方々との間で、活発な質疑・討論が行われることを期待しております。

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