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SS研会長挨拶


高エネルギー加速器研究機構 渡瀬芳行

 ご紹介いただきました渡瀬でございます。

 21世紀を迎えまして、最初の年度始めというお忙しい中、皆様、大勢お集まりいただきましてありがとうございます。

 先ほどの総会議事の後、研究成果の発表会と特別報告が行われました。3つのワーキンググープ、そして富士通研究所の中村常務、大変ありがとうございました。
 SS研は、対話と情報交換という場のみならず、このように活動の成果を発表する場を設けようということで、昨年度から総会議事の後に、成果発表会を実施することになりました。昨年、今年と皆さん大変、力が入ってきているなという印象を受けまして、ありがたく思っています。
 いろいろな提案やアイディアがこの中で述べられたと思いますが、これを是非、会員の方はもちろん、富士通の方々が、どう評価されるか、どう受け止められるかを伺いたいと思いますし、また是非その中からヒントを得られて、成果を活かすようにお願いしたいと思っています。

 さて、日本の失われた10年という言い方がよくされるかと思いますが、実際は非常に大きな変化が起こっているのだと思います。日常、目にするのは、大変暗いニュースが多いのですが、中には明るいニュースがあると信じております。筑波大学名誉教授の白川先生がノーベル化学賞を受賞されましたし、つい最近ですと、田中眞紀子さんが外務大臣になられたというのは、私には明るいニュースかなと思っています。(笑)
 一方、この10年間にIT関係の技術というのは非常に大きな進歩をしているわけです。先ほどの中村常務のお話にありましたように、この10年間に多分、我々ユーザから見まして、PCのスピードは1000倍くらいになっているし、我々が使えるディスク容量も1000倍になっているのではないかと思います。同じようにネットワーク自身のスピードも1000倍になっていると思います。これほど変わったものは他にないのではないかと思います。しかしながら、我々の給料はせいぜい1倍、場合によってはマイナスかということで、失われたのは我々の給料かなと思います。(笑)

 さて、最近政府は、e-Japanという構想で、電子政府はもちろん、我々が関連している研究、あるいは教育の分野にもIT化を強力に進めるという政策をとっています。SS研でもよく議論されてきましたが、教育の場でITを活用するという場合にいろいろな場面があるかと思います。今日、お話にありました教材のみならず、インターネットを使った学習なり、あるいは遠隔授業等、そのような教育に対するITの応用分野が非常に多いと思います。その場合、ネットワークのスピードというのは直接影響を及ぼすと思います。つい最近ですと、スーパーSINETは、ギガビットレベルになりますが、それは本当のバックボーンのところだけであり、国内を見ましても、いろいろな大学、研究機関にしても必ずしもそれに乗っているわけではありません。いまだに1メガのスピードでさえ、なかなか 使えないというのが実情かなと思います。
 ネットワークインフラというのは社会資本のひとつだと思いますので、誰でも使えるというのが理想だと思います。現在、言われておりますのは、競争によって安くして、誰でも使えるようにという方向になっています。多分、近々行政サービス、あるいは社会サービス自身もすべてネットワークに乗るということになれば、ネットワーク自身は完全に社会資本というか、国民一人一人が同じようなレベルで使えないといけないと思います。そのようなことを考えますと、今行われているこのような競争的低価格化というのは本当にいいのか、私は疑問に思っているわけです。それがそのまま情報格差となり、そのまま教育格差にならないように、我々がSS研の活動を通して、いろいろな形で訴えていきたいと思います。

 聞くところによりますと、秋草社長は政府のIT戦略推進本部のメンバーのお一人だと聞いております。我々のこのような活動を見、あるいは聞いていただいて、何かヒントを得られて、日本のIT関連の将来に対して、何らかの貢献をしていただければありがたいと思いますし、それに応えられるようなSS研でありたいなと考えています。

 面白いお話にならなくて申し訳ないのですが、この後は秋草社長にお任せしたいと思います。簡単ですが、私のご挨拶とします。どうもありがとうございました。(拍手)


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