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7. 終わりに

 コモデティハードウェアの組合わせによる1,204台プロセッサ構成のPCクラスタを安定して実現できることを実証した。システムソフトウエアにおいて、スケーラビリティの問題もないことを確認した。しかし、アプリケーションレベルでのスケーラビリティ検証については、今後の課題である。
 ここで紹介しなかったが、NAS並列ベンチマーク集のクラスCにおける性能評価も行なっている。プロセッサ台数に制限のあるベンチマークがあり、1,024台を使ってNAS並列ベンチマーク集全ての結果を得ていない。また、1,024台規模のベンチマークでは、クラスCの問題サイズ以上が必要であろう。今後、小規模から大規模クラスタ用のベンチマークプログラムが必要と考えている。
 PCクラスタは、誰もが秋葉原でPCのパーツを買ってくれば容易に並列環境が構築できると考えがちである。しかし、そこには多くの落とし穴が潜んでいる。様々なチップセット、プロセッサのリビジョン、Ethernet カード、ネットワークスイッチがあり、場合によっては本来出るべき並列処理性能が出ないこともある。大規模クラスタの場合は言うまでもないが、小規模のクラスタ構築においても、ハードウェアとネットワーク知識のないユーザに対して、技術的にしっかりとサポートできる企業の育成が急務と考える。
 新情報処理開発機構でのSCoreの開発は2001年11月末日で終了する。SCoreシステムソフトウエア開発の継続と、PCクラスタ市場の健全な発展を目的に、2001年10月4日、21社の賛同を得て、PCクラスタコンソーシアム(http://www.pccluster.org)を立ち上げた。また、SCore IIIはプロジェクト終了後もPCクラスタコンソーシアムを中心に主にアプリケーション性能の検証に利用される予定である。

表4: 2001 年6 月TOP500 リスト中のクラスタ
備考:コンピュータ欄の括弧内はプロセッサタイプとクロック(GがついているのはGHzでそれ以外はMHz)。
P-IIIはIntel社Pentium III。A-21264はCompaq社Alpha21264。

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