1.背景
インターネットの利用増やデータのマルチメディア化に伴うデータ量増加への対応とデータへの安定したアクセス確保の重要性の要求の高まりと、ファイバーチャネルの普及やLANの速度向上 (100Mbps→10Gbps)等の基盤技術の進歩により、ネットワークを活用したストレージシステムであるSAN(Storage Area Network)およびNAS(Network Attached Storage)が注目されている。
また、データへの安定したアクセスの確保には、各種の障害や保守などによる中断時間の短縮を実現する「高可用性」が必須の要件であり、また、運用管理・バックアップ・データ共用・ストレージの仮想化など運用性向上を目指す「統合ストレージマネージメント」が望まれる状況となっている。
そこで、本WGでは、会員機関におけるストレージシステムの現状を踏まえ、「高可用性ストレージシステム」の構築に向けての必要事項の検討を行なうとともに、各会員へのノウハウの共有化を図ることを目的とする。
特に、注目度の高いSAN/NASを主眼とし、「高可用性」、「統合ストレージマネージメント」をキーワードとして、その課題の洗い出しを行い要求事項、留意事項を明確にする。
2.メンバー(○まとめ役)
- [会 員]
- ○松澤照男(北陸先端科学技術大学院大学)
- 水本好彦(国立天文台天文学データ解析計算センター)
- 磯 直行(中京大学)
- 敷田幹文(北陸先端科学技術大学院大学)
- 鈴木富男(理化学研究所)
- [富士通]
- ○小野英司(ソリューション事業本部中部システム統括部)
- 松本一志(ファイルシステム事業本部基盤システム開発統括部)
- 五十嵐功(ソフトウェア事業本部運用管理ソフトウェア事業部)
- 斎藤信二(システムインテグレーション事業本部第三システムインテグレーション事業部)
- 瓦井健二(システムインテグレーション事業本部科学システム統括部)
3. 活動内容
会合開催一覧
| 日 時 | 場 所 | 活動内容 |
第1回 | 6月 6日(水)14:00〜17:30 | 富士通本社 | 本WGの活動における検討内容の検討 |
第2回 | 8月23日(木)14:00〜17:30 | 富士通本社 | 現状の問題点および課題の抽出 |
第3回 | 10月19日(金)14:00〜17:30 | 富士通本社 | 課題の解決のための手段の検討 |
4.活動目標/スケジュール
本WG活動の具体的な検討内容は、以下の通りとする。
| (1) | 現状の問題点の整理 (性能、構成、ユーザ管理、マルチベンダー等 ) |
| (2) | 利用モデルの構築 教育利用環境モデル 研究利用環境モデル |
| (3) | 利用モデルごとの課題と要件の整理 (性能/構成/ユーザ管理/ストレージ仮想化/可用性等) |
| (4) | SAN/NASシステムのガイドライン作成(適用上の留意点) |
| (5) | SAN/NASの共存の可能性検討 |
| (6) | システム全体としての課題と対策の検討とベンダーへの要求の整理 (エージェントとの整合性/認証等) |
スケジュール目標として、以下を目処とする。
- 1年目:(1)〜(3)項
- 2年目:(4)〜(6)項
5.ケーススタディ
SAN/NASおよびネットワーク技術を使ってユーザおよび管理者の要求を満たすシステムの構築を目指し、メンバー所属サイト(国立天文台、中京大学、北陸先端科学技術大学院大学など)の現状システムの問題点を明らかにした。
| (1) | 北陸先端科学技術大学院大学
ネットワークシステムの現状が報告され、クライアントから見る高可用性システムの実現について、議論した。また、富士通から実現可能なネットワークシステムの構成案が提示された。 |
| (2) | 中京大学 異種OS(UNIX、Windows、Mac)で共通して使用できるファイルシステムでのセキュリティ管理とユーザ管理が必要。また、小容量から大容量ファイルまで混在するファイル管理とバックアップについても問題意識をもっている。 |
| (3) | 国立天文台 オンライン系とオフライン系が大規模ファイルシステムを介して結合された「すばる望遠鏡」スパコンシステムでは、オンライン系の性能確保とオフライン系のセキュリティ管理が大規模ファイルシステムに要求される。その解決法を現在、模索している。 |
6.検討課題
前項のケーススタディより、SAN/NASシステムの課題として以下を取り上げ、議論することになった。
| (1) | 高可用性 (性能、構成、ユーザ管理、マルチベンダー等 ) |
| (2) | 運用の効率化 多種多様な素材で構成されるSANとNASの環境を利用し、ユーザからの多様な要求に対応するために、運用コストを軽減し、システム管理者の負担にならない方法で、システムを効率的に運用管理する方法が求められる。 |
| (3) | セキュリティ ストレージアクセスのセキュリティ管理は、現在のところ接続ホストを単位としているが、実際の運用ではユーザは、接続ホストを変更したり、リモートから使用したりするので、ジョブやタスクの単位でのサーバ上と同じ管理方法が求められる。 |
| (4) | 大量データの保全 動画像データのような巨大ファイルと、大量のサイズの小さなファイルなど、様々な性格のファイルを効率的に管理し、それぞれのバックアップを適切に行う方法が求められる。 |
| (5) | 性能保持 観測や実験の生データの様に、リアルタイムで大量に流入するデータとバッチ的或いは非定期的に処理される解析処理との共存システムでの複数処理による性能低下の防止方法が求められる。 |
7.SAN/NASシステムについて
これまでの活動において、検討された課題を解決するシステムおよびソフトウェアの紹介があり、議論を行った。
(1)SAN/NAS融合システム
(2)システムネットワークの集中管理ソフトウェア(SystemWalker/CentricMGR)
(3)ポリシーに基づいたストレージの運用管理自動化ソフトウェア
(SystemWalker/StorageMGR(VPS(Virtual Private Storage))
以上
OHP資料(PDF:1056KB)