教員から新しい知識を教授される、あるいは自らの学びによって新しい知識を得る。人は新しい知識を吸収し、再構成し、応用する。さらには、今までにない新たな知識を創造する。このような能力の全体像を知的能力と呼ぶことができる。
知的能力を獲得するプロセスとその成果を可視化できれば、学生が自らの学習を自己管理することが可能になり、教員も授業目的を明確にするとともに学習プロセスの形成的評価が可能となるなどによって、教育活動の全体像を可視化することにつながり、結果的に授業の改善ツールとなりうるものである。
現在すでに次のような先行的な試みがなされている。教育活動を通じて獲得が期待されるコンピテンシーを履修開始前から提示することによって、履修科目とコンピテンシーのマッピングから自分の能力獲得状況を把握できる仕組みを提供すること。科目群全体のコンピテンシーをポートフォリオとして整理することによって、知的能力の全体像を把握することや獲得プロセスの形成的評価に生かすこと。獲得すべき知識体系とその獲得プロセスを把握できる仕組みを提供することによって、学習支援や学生指導を展開しようとすることなどである。
本WGでは、知的能力を可視化することを目指して、知的能力の全体像を捉える視点を整理しつつ、各教育活動における領域固有の能力としてのコンピテンシーを明らかにし、より一般的な要素としての知的能力の抽出を図り、獲得プロセスの形成的評価方法とその適用について研究することを目指す。これらによって、コンピテンシーや要素としての知的能力とポートフォリオとの関係を整理し、最終的には授業改善につながるツールの設計方法についても研究する。そして、ここで得られた知見を共通化したノウハウとして各会員へ普及を図りたい。