Scientific System研究会HomePCクラスタWG 〜第3回会合ディスカッションメモ〜
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[話題1]スケーラブルビジュアルコンピューティングシステム〜VGクラスタ〜 : 村木(産総研)
  • PCの持っているグラフィックエンジンを有効に使用したい、という発想のもと本研究を推進してきている。
  • シュミレーション結果のグラフ化には、何点かのボトルネック発生要因がある。
  • Volume Renderingとは、三次元画素に色と不透明度を与え、重ね透かして見せることで立体感を出す。
  • SC2001でCompaq,HP,IBMがPCクラスタによる医療可視化のデモをしていた。
  • Image Compositing Hardwareは、試作段階で高いが約300万円かかった。
  • VolumeProは高い。GeForceは完全な正しいV.R.にはならないが充分ではないか。
  • 1台のPCで一辺0.1mmの立方体の脳組織を表現するとして、人間の脳が納まる一辺20cmの立方体の空間のシミュレーションをするとPCが2000*2000*2000=80億台は必要になる。 一辺5mmの立方体ならPCが50*50*50=12万5千台になり、ねずみの脳くらいはできるかもしれない。
 
[話題2]TS225を買ってみたんですけど : 真鍋(KEK)
富士通TS225(薄型ラックマウント専用サーバ)を使用してみた率直な感想/要望を報告。また、複数台PCの同時インストレーションへの取り組みなども合わせて報告。
  • 予算面では、サーバマシンはレンタル扱い、CPU性能の変更が多いものは年度予算で購入するのが賢い。
  • Scoreのテストプログラムがうまく動作しなかった。Score側のパラメタを修正して対応。←Scoreの旧バージョンでは性能の出ないことがある、との意見も出された。
  • RWCPの対応は素早くて役に立つ。
  • 複数の人がマルチモードで利用している。←PCクラスタコンソーシアム(PCCC)が立ち上がったので、そこでかなり対応できる。
  • PCCCはRWCPと比較して同じだけの対応が出来るのか?専従要員もいない様だが。← 頻繁に会議も行っているし、情報の集約も今後PCCCが行なう。対応は問題無い。
  • 富士通のLinuxページには情報が少ない。
    → 現在内部解決した情報は公開していないが、今後は自分で構築する人向けに情報公開する方向で検討していきたい。
  • キックスタートはインストールに関しても有効。自動電源オフはカーネルレベルでサポートが違っている。
  • 現在の課題。5年後位先には1Petabyteのデータをどう持つのか。
    現在テープライブラリをWSに直結して使用。NFS共有、2〜30台だと問題ないが100台となると問題あり。データ自体の独立性が高いので、データを各PCに分散させてそれにCPUがくっついている、というイメージを考えている。
 
[話題3]PC向けコンパイラの高速化への取り組み〜SSE命令の利用〜 : 中平(富士通)
  • VPPなどの技術を取り入れて開発中であるが、P3からP4に変えると必ずしも最適ではないオブジェクトとなるわけではない等、まだまだやるべきことが多いし、インテルのハードが変ってゆくので難しさが有る。
  • ハードプリフェッチの仕様をIntelが公開していないため、ソフトプリフェッチとハードプリフェッチの連携が旨くいくのか?
    → ハードプリフェッチのロジックは、他のアーキテクチャの実装からある程度推測できるため、プログラムによる試行錯誤を含め検討を続け、最適なソフトプリフェッチのロジックを実装する。
  • ダイナミックアロケートすると性能が落ちるか?
    → 全体の大きさを計算できない。添え字がどれだけループに対して影響し遅延させるか。
  • 無償のインテルコンパイラ(non-support, non-commercial)の性能が良い。
    → 自動ベクトル化を使ってSIMD化している。どんなプログラムを作るのか分からない人向けには良い。
  • 我々が使用している有限要素法のプログラムでは、メモリを連続的にアクセスする訳ではないが、ある一定の規則性(アクセスの幅)を持っている。このような場合、ハードプリフェッチにより予測は可能か?
    → Intelがハードプリフェッチの仕様を公開していないため明確には言えないが、基本的にdistance accessのハードプリフェッチによる予測は難しいのではなか。
  • C++でクラスが深い。PGIを使うとGNUに比べ30倍速い?
    → 例外処理を無視しているのではないか。
  • 富士通のC++は、GNUに比べどのぐらい速いのか。
    → 性能比較データがない。ガーベジコネクション(?)をうまくやっていないと遅い。C++の最適化は難しい。
 
その他〜問題提起/要望/感想など〜
  • VGクラスタの話は、PCが持つ安価なグラフィック性能を演算性能と同様に、並列化して画像処理の高速化を実現するという画期的なアイデアで、PCクラスタが「GWSの代用品、または、GWSを超えるスーパーGWS」として期待されている事を認識し、また、その研究開発が非常に進んでいることに驚いた。
  • やはり、PCクラスタには、安価を期待するところが大きいと思う。
  • コンパイラの話は、有用な情報が得られて非常に良かった。富士通には、大型機やスパコンで培ったコンパイラ開発技術が有り、遠からずPCクラスタのコンパイラに適用されるとの事なので、期待したい。既に陳腐化してる現用機が、ソフトウェア的にそれをカバーできれば、大変ありがたい話なので、この「高速化への取り組み」が、早く、安く実現する事を期待している。
 
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