近年、国内外での共同研究が多く行われるようになり、そこで相互に利用するデータ量も非常に大きなものとなってきた。また、以前はコアとなる研究機関にある計算機資源を用いていたものが、複数の研究施設の持つ計算機資源を統合的に活用するスタイルも増えてきた。ここで、複数機関での大規模なデータの共有を効率的に行う方法が一つの課題となっている。同時に、公的資金を用いて行われている実験や研究などの成果を社会に還元することも重要となっており、ここで一般公開すべきデータも大規模となってきている。
これまで、サイト内など閉じた環境においてデータを共有する技術は確立されてきた。しかしながら、多くの研究機関が参画した場合のデータ共有技術は、未だ簡単に導入、運用できるシステムとはなっていないように見受けられる。さらに、近年ではセキュリティの観点から、ネットワーク接続の制限やユーザーの管理などにも配慮する必要がある。こういった様々な制約の中で、効率的かつ十分な性能を持ったデータ共有システムが求められている。
こういった現状を鑑み、本WGでは、いくつかの分野において、データ共有に対する要求を整理し、現在のデータ共有基盤技術の調査を行ったうえで、それぞれの要請に適した技術を提示、また、既存技術の課題と今後の方向性について議論を行うことを目指す。
WG前半では、様々な分野の方々から、データ共有の具体的な必要事例とデータ共有に関する課題・要求を整理するとともに、現在のデータ共有技術に関する技術・規格や将来動向を調査する。
WG後半では、調査したデータ共有技術と、整理された課題・要求とのギャップを把握し、必要とされるデータ共有技術の検討、ならびに、これを用いたデータ共有の在り方について報告書にまとめる。
本WGのアウトプットが、国や分野を超えたデータ利活用に関する検討の一助となることを期待する。