近年、急速に普及してきたクラウドは、システム技術の観点から見ると、システム運用のアウトソース、データセンターを利用したITリソースの安全な保管、SaaS利用などの集大成といえる。完成度の高いクラウドにおいては、従来自組織で管理していたシステムを利用者に対してほぼ同じようにサービス提供が可能になるため、システム運用管理のオーバヘッドを大幅に削減できる可能性がある。その一方、システム運用をアウトソースすることにより、自組織でシステム技術者育成が出来なくなるという問題も考えられる。
このような背景のもと、2010年度のシステム技術分科会では、システム技術の観点でクラウドを取り上げる。第1回目の分科会では、まずクラウドそのものの理解を深める機会を提供する。さらに、アウトソース先としてクラウドを自組織のシステム運用に採り入れている事例やクラウド導入サービスの紹介などを通じて、クラウドについて広く理解を深める。第2回目の分科会では、システム技術者が最も注意を払うべき、クラウドを利用したシステムにおけるセキュリティに着目する予定である。また、2010年度は通年でクラウドをテーマにするため、第1回目会合時に参加者からアンケートを取りその内容を第2回目に反映する予定である。