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科学技術計算分科会 2008年度会合

新時代のHPC技術

日時

2008年10月22日(水) *教育環境分科会と同時開催、*合同分科会と連続開催
・分科会 13:30〜17:50 (受付 13:00〜)
・懇談会 19:30〜21:30

場所

リーガロイヤルホテル京都map  2階「春秋の間」

3.開催趣旨

 近年、超並列またはハイブリッド型スーパーコンピュータの性能向上が目覚しく、米ロスアラモス国立研究所のロードランナーが HPLベンチマークとは言え、超1ペタフロップスを実現してまもなく半年が過ぎようとしている。今後はペタスケールの計算機をより実用的なものにしていくため、プロセッサ技術だけでなく、アーキテクチャを含む多階層の低消費電力化技術、マルチコア・Manyコア時代のプロセッサへのデータ供給の問題、アクセラレータを有するハイブリッド型コンピュータのプログラミング技術、スレッド自動並列化コンパイラ技術やインターコネクト、ストレージ技術においても新たなブレークスルーが必要となる。そしてこれらの総合的な性能指標について、新たなベンチマーキングの手法も必要となる。
 これらの状況を踏まえ、今回の科学技術計算分科会では以下のように国内外から先端的な研究開発を行っている先生方をお招きし、ペタスケール時代の HPC技術についてより深く掘り下げた議論を行う。
 まず Fujitsu Systems Europeから Matthijs van Waveren博士をお招きし、SPEC OMPおよび SPEC MPIの最新動向についてお話を頂き、京都大学 中島浩先生からは T2Kオープンスパコンの新たな運用法および東大、筑波大との連携についてご講演頂く。また九州大学 村上和彰先生からは、ハイブリッド型スーパーコンピュータのキーテクノロジーとしてアクセラレータ技術の現状と今後についてお話を伺い、東京大学 中村宏先生から高性能低消費電力プロセッサを実現するアーキテクチャ技術について最新の技術動向をご講演いただく。富士通講演としては、最新鋭の FX1について、そのコンパイラ技術、言語環境を中心にお話を頂く予定である。さらに、夜の懇談会の部では「超並列時代のプログラミング」というテーマで、パネリストと会場にご参加の皆様を交えた活発な討論を展開する予定である。

プログラム(敬称略)

13:00-13:30 受付
13:30-13:35 開会あいさつ
     青柳 睦 (九州大学情報連携研究開発センター)
13:35-14:10
報告:30分
Q&A:5分
[1] SPEC in a New Era
     Matthijs van Waveren
     Director of SPEC
     Fujitsu representative to SPEC, OpenMP ARB, Fortran WG
     Fujitsu Systems (Europe) Ltd

We are entering a new era, where high-performance, low-power consumption systems will be available, that can run a multitude of OS. SPEC develops and supports tools to assist industry in assessing the systems suitable for this new era. A multitude of benchmark suites is available in addition to the well-known SPEC CPU, including HPC specific suites such as SPEC OMP and MPI, and virtualization and power-performance suites. They are used for an objective comparison of systems, and for assisting engineers with product development. We highlight the benchmark suites most relevant for HPC, and describe the industry's first standard power-performance suite.

14:10-15:00
報告:40分
Q&A:10分
[2] T2Kオープンスパコン:新たな運用法と新たな連携
     京都大学 中島 浩

筑波大・東大・京大の 3大学が「オープン性」をコンセプトに共同策定した仕様に基づいて調達した T2Kオープンスパコンは、本年6月に各サイトで稼動を開始した。稼動開始と同時に本格運用に入った京都大学では、従来の従量制課金や単純な計算ノード分割とは異なる計算資源の予約利用制度を導入し、多数のユーザからの好評を博している。また T2Kの連携も共通仕様策定を出発点として、共同研究、人材育成、研究支援など、様々な側面で発展を続けている。
本講演では、京都大学での運用方針と新たな T2K連携活動について紹介する。
Keyword: T2Kオープンスパコン、ジョブスケジューラ、課金ポリシー、大学間連携

15:00-15:50
報告:40分
Q&A:10分
[3] アクセラレータ技術の現状と今後
     九州大学 村上 和彰

高性能科学技術計算(HPC)とアクセラレータとの関係は歴史が長い。ベクトル処理もアクセラレータの一種であり、かつ、その元祖的存在である。ベクトル処理が時間軸方向のデータレベル並列処理だったものを空間軸方向に置き換えたものが現在主流となっている SIMD処理であり、CELLや ClearSpeedがこれに該当する。一方、信号処理の世界もアクセラレータとの付き合いは古い。DSP然り、最近では DAPDNAのように数百個の演算器を 2次元配列に配置したものも登場している。世の中のテクノロジードライバーがコンシューマーエレクトロニクスに移行している昨今、今後の HPC業界におけるアクセラレータの進む方向性について議論する。
Keyword: ベクトル処理、SIMD処理、ALUアレイ、GPGPU

15:50-16:05 休憩
16:05-16:55
報告:40分
Q&A:10分
[4] 高性能低消費電力プロセッサを実現するアーキテクチャ技術
     東京大学 中村 宏

消費電力の増大は、ハイエンドコンピュータにおいてもその性能向上を抑える主要因となってきており、プロセッサのさらなる高性能化と低消費電力化が求められている。
低消費電力化を実現するためには、不要不急の動作をするスイッチング素子の動作を停止させる、あるいはゆっくりと動作させる必要がある。システムの設計は、デバイス、回路、アーキテクチャ、OSまでの多階層にまたがる最適化を必要とするが、低消費電力化の実現においては、デバイスと回路は、効果的に動作を停止あるいは遅くする役割を、アーキテクチャとOSは、不要不急の動作をする部分を抽出する役割を、それぞれ担う。本講演では、回路とアーキテクチャレベルに焦点を絞りこれまでの技術動向を述べると共に、今後必要となるであろうアーキテクチャ技術について、自身の研究を交えながら述べる。
Keyword: 低消費電力、回路技術、アーキテクチャ

16:55-17:45
報告:40分
Q&A:10分
[5] ハイエンドテクニカルコンピューティングサーバ FX1について
     富士通(株) 青木正樹

富士通は、将来のペタフロップスコンピューティングの実現に向けた研究開発を通じてさまざまな技術的なチャレンジを行っている。ハイエンドテクニカルコンピューティングサーバ FX1は、高性能自社開発クアッドコアCPU SPARC64TMZプロセッサを採用した高性能テクニカルコンピューティングサーバである。当社が長年培ってきたテクニカルコンピューティング分野における技術と経験を投入し、マルチコアCPU時代をリードする新たなハイエンドテクニカルコンピューティングサーバを実現した。本報告では、FX1の概要のみならず実行性能の詳細についても報告する。
Keyword: マルチコア、性能、並列化、コンパイラ

17:45-17:50 閉会あいさつ
     水本 好彦(国立天文台天文データセンター)
17:50-19:30 休憩・食事・ホテルチェックイン
19:30-21:30 懇談会「超並列時代のプログラミング」
    参加費 \500

 モデレータ:九州大学 青柳睦
 話題提供:国立天文台 水本好彦、筑波大 朴泰祐、富士通 山中栄治

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