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ペタスケールコンピューティングで何が変わるのか
 
盛会に終了しました。大勢のご参加をいただき、ありがとうございました。
 
1. 日  時
2005年8月30日(火) 〜 31日(水)
 
2. 会  場
メイン会場
懇親パーティ会場
汐留シティセンター 24階 大会議室
汐留シティセンター  2階 UN CLUB TOKYO  (8月30日18:10〜20:10)
 
3. 趣  旨  数年前まで夢の大台であったテラフロップス*1がパソコン100台以下で当たり前のように構築、利用できる環境が整いつつある今、数多くの分野で、さらなるハイパフォーマンスコンピューティングの必要性と、それを支える様々な支援技術の重要性が指摘されています。
 そこで今回は、「ペタスケールコンピューティング*2で何が変わるのか」をテーマに、自然環境、バイオテクノロジー、ナノテクノロジー、核融合の各分野より応用事例をご紹介いただきます。
 また、海外からは、米国エネルギー省(DOE:Department of Energy)傘下にあるOak Ridge National LaboratoryよりAl Geist様をお呼びし、彼らが推進しているNational Leadership-class Computing Facility (NLCF) という構想の概要と最新情報についてご講演いただきます。富士通からは、ペタスケールコンピューティングへの取り組み および それらを支える各種R&D要素技術・ソリューションのデモを実施しご紹介いただきます。これにより、HPCユーザの現状の問題解決と、将来(2010年前後を想定)のペタスケールコンピューティングのあるべき姿、ペタスケールコンピューティングのキラーアプリとは何かを追求します。
 
4. プログラム   (敬称略)
8月30日(火)8月31日(水)

8月30日(火)

  司会 : 三浦謙一(国立情報学研究所リサーチグリッド連携研究センター)
13:30〜13:40
  開会挨拶
岩宮敏幸 (宇宙航空研究開発機構総合技術研究本部)
13:40〜14:50

発表者紹介:10分
報告:50分
Q&A:10分
  (1)海外招待講演
  A New Paradigm for Large-scale Science:
  Computational End Stations

Oak Ridge National Laboratory was recently selected to become the National Leadership-class Computing Facility (NLCF)in the USA. The NLCF will be a unique science resource much like the Keck telescope or the Spallation Neutron Source (SNS) and is expected to house the largest "open science" computing resource in the U.S.A. This resource will be focused on a small number of fundamental, large-scale science problems in nanotechnology, biology, and fusion. This paper describes a new paradigm for doing research at NLCF based on the concept of Computational End Stations and contrasts it to the traditional approach for using large computer centers. This talk will present the latest status of the NLCF, describe the concept and benefits of computational end stations, and present three examples. And more..

[キーワード] NLCF, SNS(核破砕中性子源), テラグリッド, ナノテクノロジー, ゲノム
※講演は英語になります。(通訳なし)
14:50〜15:20

報告:20分
Q&A:10分
  (2)HPC向けR&Dソリューションご紹介
富士通株式会社 科学ソリューション統括部 万谷 哲

ペタコンピューティングには、1台でペタフロップス級を実現するほか、複数のシステムを使用したメタコンピューティングにより実現する世界がある。いずれもリモートで如何にシステムを使いこなすかという課題があり、それにはCPUパワーだけでなくデータのアクセサビリティや可視化の問題も同時に考えていかなければならない。本発表ではユースケースを考え、デモを交えながらいくつかのソリューションを紹介する。

[キーワード] HPCソリューション、R&Dソリューション、製品紹介
15:20〜15:50   休憩 <デモ展示>
  司会 : 水本好彦(国立天文台天文学データ解析計算センター)
15:50〜16:50

報告:50分
Q&A:10分
  (3)数値気象予測の現状と将来展望
気象庁気象研究所 予報研究部 室井ちあし

毎日の生活に必要不可欠な天気予報は、スーパーコンピューターによるシミュレーション結果がベースとなっている。また地球温暖化や台風・集中豪雨等の顕著現象の予測やメカニズム解明のためにも、今や数値シミュレーションはなくてはならない手法である。これまでの気象分野における数値シミュレーションの利用法や成果を概説し、今後の課題や問題点、将来のHPCへの期待について述べる。

[キーワード] 数値天気予報、気象予測、地球温暖化、集中豪雨
16:50〜17:50

報告:50分
Q&A:10分
  (4)地球シミュレータによる全球地震波伝播シミュレーション
海洋研究開発機構 地球内部変動研究センター 坪井誠司

地震は地球内部の破壊現象で、大地震が起きるとそれにより地球内部を伝播する地震波を励起する。地球内部は固体のマントルから流体の核までほぼ成層構造をしているが、現実には複雑な3次元的構造を持っている。そのため現実的な3次元地球モデルに対して地震波の伝播を計算することは困難であったが、数値解法としてスペクトル要素法を用いて地球シミュレータの507ノード(4056 cpu)により、周期3.5秒までの精度を持つ地震波の計算が可能となった。講演では、様々な地震の計算例を示す。

[キーワード] 理論地震波形記録、スペクトル要素法、地震波動伝播、3次元地球内部構造モデル、地球シミュレータ
18:10〜20:10
  懇親パーティ (会費:\3,000)

8月31日(水)

  司会 : 朴泰祐 (筑波大学計算科学研究センター)
10:00〜11:00

報告:50分
Q&A:10分
  (5)ペタスケールコンピューティングへの期待〜バイオ事例から〜
株式会社富士通研究所 ナノテクノロジー研究センター 藤田省三

近年、計算機の性能向上や方法論の進歩に伴い、現実系に対する大規模計算による物性予測が可能になってきた。しかし、生体系応用では、対象分子が揺らぎ、溶媒を含めて取り扱い原子数が大きいことなどから、その物性予測は困難とされてきた。本報告では、最近の計算手法の進歩によって高精度計算が可能になった受容体-化合物の結合自由エネルギー計算、生物分野での第一原理計算等を紹介し、ペタ計算機で実現される将来像を探る。

[キーワード] 大規模計算、生体系、物性予測、結合自由エネルギー、第一原理
11:00〜11:30   休憩 <デモ展示>
11:30〜12:30

報告:50分
Q&A:10分
  (6)核融合から見たペタコンピューティング

国際熱核融合実験炉(ITER)は今後10年をかけて建設し、20年間運転する計画である。その間にペタコンピューティングが可能になった場合、(1)核融合プラズマの大域的な(平均的な)挙動をシミュレーションで監視しながら運転し、さらには、最適運転に向けた制御を行うこと、また、(2)装置には当然スケールの上限(< 10 m)があり、一方、その下限は電子の運動するスケール(0.1mm程度)である。この全スケールにわたる核融合プラズマ・シミュレーションが視野に入ってくる。講演では、この二つの側面から研究の現状と将来について述べる。

[キーワード] 核融合プラズマ、ITER、粒子モデルシミュレーション、流体モデル、制御
12:30〜13:40   昼食・休憩 <デモ展示>
  司会 : 青柳 睦 (九州大学情報基盤センター)
13:40〜14:40

報告:50分
Q&A:10分
  (7)ナノサイエンスとペタコンピューティング

ナノ物質系の計算科学について、NAREGIナノサイエンスプロジェクトにおける活動を中心に報告する。その中では特に、水溶液中に形成されるナノスケールの分子集合体、つまり生体分子系も含むソフトナノマテリアルに注目し、一方で連成計算等のシミュレーション手法の展開についても詳細に述べる。さらにペタフロップスマシーンにおけるナノサイエンスの可能性と問題点について議論する。

[キーワード] ナノ、分子集合体、分子動力学法、グリッド、NAREGI
14:40〜15:00 休憩 <デモ展示>
15:00〜16:00

報告:50分
Q&A:10分
  (8)富士通のペタスケールコンピューティングへの取り組み
株式会社富士通研究所 ペタスケールコンピューティング推進室 奥田 基

当社は、国際的な産業競争力の維持と世界レベルの最先端の研究開発を支えるために、2004年10月より、富士通研究所内にペタスケール推進室を組織し、新たなるスーパーコンピューティング事業に取り組んでいる。本報告では、実効性能1ペタフロップスを超える次世代スーパーコンピューティングの実現に向けた当社の取り組みについて報告する。
また、文科省の「将来のスーパーコンピューティングのための要素技術研究開発プロジェクト」の一テーマとして九州大学が受託し、当社も研究メンバーとして参加する「ペタスケール・システムインターコネクト技術の開発」の計画概要について報告する。

[キーワード] 産学官連携, 次世代スーパーコンピューティング, ペタフロップス, 国家プロジェクト, 共同研究
16:00〜16:10
  閉会挨拶
上島 豊 (日本原子力研究所)
 
 
5.デモの内容 富士通より、主に以下のHPC向けR&Dソリューションのデモを実施し、ご紹介させていただく予定です。

パラメトリックスタディー支援ツール
オーガニックジョブコントローラ(in Systemwalker CyberGRIP)
ライブラリレス・リアルタイム可視化ツール
VisTrace
AVS/Expressプレゼンテーション可視化ソリューション
Fly Through Animator
汎用3次元電磁波解析ソフトウェア
Poynting
創薬研究アクセラレーションシステム
BioServer
スケーラブル自律ストレージシステム
オーガニックストレージ
分散環境を簡単に、効率的に、かつ連携して使用するミドルウェア
SynfiniWay
大規模システムをWebから簡単に監視/利用することができるシステム
HPCポータル
教育用PCの有効活用により、大規模グリッド環境を提供するソリューション
キャンパスグリッドソリューション

 
6.参加について
参加対象HPCにご興味のある方でしたら、どなたでもご参加いただけます。
参加費無料
ただし懇親パーティに参加される場合は、会費として 3,000円を徴収させていただきます。
服装 クールビズをお勧めします。
富士通グループでは、「チーム・マイナス6%」に参加しています(室温28℃)。
なお、当日お越しの際はお名刺をお持ちください。
 
7.お申し込み受付終了しました。
 
8.お断り
定員は150名です。
お申し込みが多数の場合には、定員になり次第締め切らせていただきます。

注釈  *1 テラフロップス : 浮動小数点演算を1秒間に1兆回実行する能力
*2 ペタスケールコンピューティング : テラフロップスの千倍もの能力をもつコンピュータ技術

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