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平成12年度科学技術計算分科会 第2回会合


テーマ:スカラ並列機の性能評価と運用について

【開催趣旨】
 スカラサーバの動向、利用経験については、昨年度よりテーマとして取り上げ、会員間で議論を行ってきた。また、今年度にはいくつかの会員所属機関に大規模スカラ機が計算サーバとして導入され、これらにおける利用・運用経験は蓄積されつつあるが、性能評価・プログラミングについては未だ十分な経験がないのが現状である。
 本分科会では、富士通より新スカラサーバの基礎性能、プログラミングチューニング事例、新運用機能の報告を受けるとともに、スカラサーバを導入している会員所属機関での運用事例、プログラミング事例、性能評価等についてデータをいただき、スカラサーバによるコンピュータ環境の実現へ向け、会員間で情報交換することを狙っている。


1.日   時: 2000年11月15日(水) 13:50 〜 21:30
            [合同分科会の分科会セッションとして開催]


2.場   所: グランドホテル浜松 2階 鳳(東) [分科会等懇談会:2階 白鳥]
             [所在地] 〒432-8507 静岡県浜松市東伊場 1-3-1
             [電 話] 053-452-2111(代)  [FAX] 053-453-6673

3.企画委員:  金澤 正憲(京都大学大型計算機センター)
           藤井 孝藏(宇宙科学研究所)
           福田 正大(航空宇宙技術研究所)
           野田松太郎 (愛媛大学工学部)
           奥田 基  (システム本部計算科学技術センター)
           大空 瞭  (ソフトウェア事業本部)
           高津 進  (システム本部科学システム統括部宇宙システム部)
           川上 泰雄 (システム本部西日本システム統括部公共システム部)

4.検討内容:
  
(敬称略)
−司会−  福田企画委員

(1) 開催趣旨  金澤企画委員 【13:50 〜 14:00】
(2) スカラ並列機の性能とチューニング

 1) 共有メモリ型スカラ計算機の処理性能について


【14:00 〜 14:30】
    報告:20分 Q&A :10分
名古屋大学大型計算機センター 永井 亨

 スカラプロセッサの性能は年々向上しており、理論最大性能が1Gflopsを越えるものも現れている。単一CPUのベクトル計算機で現在世界最速のものはNEC SX-5の10Gflopsであるから、単純に計算すると1Gflopsのスカラプロセッサを10台並べればこれと同等の性能が期待できることになる。
 ベクトルプロセッサに比べて単体性能は低いが大量そして安価に作れるプロセッサを共有メモリ型で接続した計算機の性能がベクトル計算機と比較してどの程度であるのかは興味のあるところである。
 そこで、本稿では共有メモリ型スカラ計算機としてFujitsu GP7000Fモデル900とHitachi SR8000の処理性能を測定した結果を報告する。

 2) Starfireの NASA Benchmark をベースにした性能評価 【14:30 〜 15:10】
    報告:30分 Q&A :10分
北陸先端科学技術大学院大学 井口 寧、黒川 原佳、松澤照男

 NASA Benchmark の5つのカーネルと3つのアプリケーションをベースに本学に設置してある 32PE のStarfireの性能評価をした結果について報告する。この際ベクトル計算機 VXE との性能比較も行なう。さらにStarfireで効率的な計算を行なうために、MPI を使った並列プログラミングやマルチスレッドプログラミングでの性能を評価する。最後にユーザからみた使い勝手を含めてスカラー並列計算機の評価を行なう。

 3) スカラ並列機におけるアプリの高速化事例 【15:10 〜 15:50】
    報告:35分 Q&A :5分
富士通(株)システム本部計算科学技術センターHPCシステム部 市川真一

 メモリ参照の頻繁な科学技術計算を高速処理するためには、従来は高度にインタリーブ化したメモリとアクセスパイプラインを持つベクトル計算機が利用されてきた。しかし、近年高速化の著しいスカラプロセッサをSMP構成したシステムの理論的性能はベクトル計算機を凌駕しており、スカラ並列機を科学技術計算に利用する動きがわが国でも広がりつつある。こうした、スカラ並列機において高い実効性能を引き出すためには、メモリキャッシュを有効的に利用するプログラミングが重要となる。ここでは、アプリケーションの事例をもとに、スカラ並列機における高速化手法について紹介する。

< 休憩 > 【15:50 〜 16:10】
−司会−   野田企画委員

   4) スカラ並列機の基礎性能 【16:10 〜 16:50】
    報告:30分 Q&A :10分
富士通(株)ソフトウェア事業本部ミドルウェア事業部コンパイラ技術部 伊奈 博

 スカラ並列機PRIMEPOWERシリーズ向けの言語処理システムは、パッケージ製品Parallelnavi V1.0に含まれて提供される。この言語処理システムは従来にくらべ、スカラ最適化、自動並列、およびOpenMP並列にわたって性能改善を図っている。本報告では、Fortran系に焦点を絞り、PRIMEPOWER上での基礎性能として、幾つかの著名なコードを例にとり、単一CPU性能をはじめ、自動並列化、OpenMP並列、さらに数学ライブラリの性能を、実測値を元に報告し考察を与える。

(3) スカラ並列技術WG経過報告 【16:50 〜 17:00】
    報告:10分
航空宇宙技術研究所 福田正大

 SMPは本当に”安い”のか?本当に”使い易い”のか?このような疑問に端を発 しつつ、それなりの市場を占有しているSMPを正しく理解し、その利用方法を検討、開発することは、これから出現するであろうより高性能なSMPマシンを使って いく上で、あるいはそのためのOSやコンパイラを開発する上で重要なことと考えら れる。このような視点から「スカラ並列技術WG」活動を開始した。まだ、7月 に準備会合を持ち、9月に第1回を開催しただけであるが、簡単にWG活動について 紹介する。

(4) 九州大学情報基盤センターにおける GP7000F の運用と利用状況について 【17:00 〜 17:35】
    報告:30分 Q&A :5分
九州大学情報基盤センター 天野浩文

 九州大学情報基盤センターでは、平成12年1月より、GP7000F モデル 900 の運用を開始した。従来使用していた M-1800/20U と性格の大きく異なる機種を導入し運用するにあたり、これまでの機種更新時にはなかったような経験もあった。本報告では、現在の本センターにおける GP7000F の運用方式やその決定にいたる経緯、さらに、これまでの利用状況などを述べる。

(5) Paralellnaviについて 〜運用管理機能を中心に〜
【17:35 〜 17:55】
    報告:20分
富士通(株) ソフトウェア事業本部第二ソフトウェア事業部第五開発部 木村治夫

  ParalellnaviはPRIMPOWERやGP7000Sを対象に、ハード性能を最大限に引き出すためのプログラム開発や実行機能、スパコン並の運用管理機能などを、Solarisヘのアドオン機能として提供するものである。
 Paralellnaviの機能から、運用管理機能やプログラムの高速実行のための基本機能について紹介する。

(6) まとめ  金澤企画委員 【17:55 〜 18:00】

< 夕食 >


【18:00 〜 19:30】

(7) 分科会等懇談会

 テーマ:「パラレルとバラレル 〜SMPサーバ 対 PCクラスタ〜」

【19:30 〜 21:30】
  • コーディネータ:藤井企画委員
  • 司会:奥田企画委員


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