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質疑応答「新スカラサーバ GP7000Fのハードウェアについて」

このページの後半に 質問票への回答があります


−司会− 高エネルギー加速器研究機構計算科学センター 石川 正

【司会】
質問のある方は挙手をお願いします。ユーザの方から何かご質問はありませんでしょうか。

【中村】(航空宇宙技術研究所)
メモリアクセスのことについて少しお伺いします。異なるモジュールにあるメモリをアクセスするときには、クロスバを経由するとして、同一のモジュールの中でもクロスバ経由ですか。

【安藤】(発表者:富士通(株)コンピュータ事業本部第三コンピュータ事業部)
はい、そうです。

【中村】
そうすると、1番目の CPUから 2番目のメモリに要求が出て、2番目の CPUから 1番目のメモリに要求が出たときにぶつかると思いますが、その辺の回避の仕掛けはどうなっているのでしょうか。

【安藤】
1番目のCPUと 2番目のCPUというのは、同一モジュール内、同一のシステムボード内と思えばよろしいですか。

【中村】
両方お願いします。

【安藤】
図でご説明します。(当日の返答とは異なります)


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まず同一システムボード内での例(図の 例1)で説明します。理解をしていただくために、データバスとアドレスバスの 2種類が存在します。データバスが、今回の新しいクロスバで接続され制御されています。#1CPU(P#1)と#2CPU(P#2)が同一のシステムボード内のメモリをアクセスした場合、4Wayでアクセスされ同時にアクセス可能となっています。

また、異なったシステムボードのCPUから異なったシステムボード内のメモリをアクセスした場合(図 例2)も、同じ形態だと思っていただければいいかと思います。ただし、同一のメモリバンク(同一のWay)をアクセスした場合は、アクセスが待たされることとなります。

【中村】
つまりクロスバは CPUとメモリの間を結んでいると考えてよろしいかと思いますが、読み出し要求が行ってそのデータが届くわけですね。その上の CPUからも下のメモリに対して、読み出し要求とデータ読み出しがあるとクロスバでぶつかるということはないのですか。

【安藤】
それはないです。そのためにクロスバを使っておりますので、同じアドレスに対するメモリであればぶつかるということはありますが、待たされますね。

【中村】
メモリモジュールと CPUというのは完全に分かれているのですか。

【安藤】
はい、そうです。

【中村】
分かりました。

【真鍋】(高エネルギー加速器研究機構計算科学センター)
0.18μの銅配線は最先端技術なのですが、クロックスピード、あるいは性能的には Intelよりもやはりちょっと見劣りするように思います。Intelアーキテクチャーだと来年度には 1GHzいくという話で、CISCと RISCのメリットを考えても速くなってほしいという期待があるのですが、その辺はいかがなのでしょうか。

【安藤】
クロックで評価されるところは多分にあると思っておりますが、全てがクロックではないと思っております。私どももそのクロックをとにかく優先的に上げるというのはやっておりますし、また RISCの特長でもあるわけですが、必ずしもそうではない。Intelさんのケースですとやはり例えばインテジャーにしても、フローティング性能にしても、まだ低いですね。1GHzであっても。

【真鍋】
そうですね。でも例えば SPARCと PA RISC、Alpha と比べても、だいたいクロックで比例しているように見えて、Alphaはとにかくクロックを上げてスピードを上げるという方針だと聞いておりますが。

【安藤】
そうですね。例えば Out-of-order実行などというのは、現状では提供されておらずクロックで性能をだしている形ですね。

【真鍋】
資料の表から見て、やはりクロックがかかるといいのかなという気もするのですが、SPARCのアーキテクチャ上やはり上げていくのがむずかしいのですか。

【安藤】
いいえ、そういうことではありません。先ほど言いました例ですが、ECCなどをサポートしていますね。そういったところの要素も少しはからんできていると思っています。

【真鍋】
まずそちらの方を優先してやっているということですね。

【安藤】
はい。現状の私どものSPARC64 GPでは 300MHzですが、論理的なところで Sunの ULTRA SPARC 400MHzと同等以上の性能を出しているということで、論理的なところを含めて高性能化を図っていきたい。最終的に 1GHzになれば、それがさらに活きて、より高性能化をアピールできるのではないかと思っております。

【真鍋】
Intelのような大きな会社が非常に一生懸命になって、多大な投資をして速いものを出しているわけですが、富士通として今後このように自社製品の SPARC用をがんばって上げていくことに傾注していっても大丈夫なのでしょうか。もし、こけてしまったらということですが。

【小新井】(富士通(株)コンピュータ事業本部)
いまのお話はよくユーザさんで聞くのですが、私どもはいまの GP7000Fの売り上げではとてもではないですが、この開発費は賄えません。ただ、日本国内でさらに事務用、科学用で、ユーザさんがだんだんと増えてきています。また、日本の中だけではなくて、世界的に販売をしたいということで、ヨーロッパ、具体的にはドイツの方でスタートしていますが、アメリカも含めて、プロセッサの開発費を賄えるだけのシステムの販売をしようという計画で進めています。

大丈夫かと言われると非常にむずかしいのですが、私どもはそれをやり抜くのだという固い決心のもとに開発パワーを集結して、アメリカと日本に 2つのプロセッサ開発チームを持って、毎年性能を上げようという体制をとって進めております。

【真鍋】
どうもありがとうございました。がんばってください。

【司会】
それでは時間になりましたので、質疑を終わりにします。
安藤さん、どうもありがとうございました。(拍手)

質問票への回答


【質問】
1クロックに同時に演算できるオペレーションは?
【回答】
「M&A 」と「A 」オペレーションです。

【質問】
Byte/Flops?
【回答】
ご質問は、トータルのメモリバンド幅に対する演算性能と理解して回答いたします。
1システムボード当り8GB/S のメモリバンド幅を有します。
また、現状のSPARC64 GP/300MHz では、Peak性能は4CPU/システムボードで3600MFLOPSを有しています。
この結果 2.22byte/Flops となります。


【質問】
GP7000Fのメモリサイズ及びバンク数を教えて下さい。
【回答】
ご質問のバンク数ですが、バンクの定義には各種の定義があります。
ここでは、インターリーブでのWay 数によるバンクと理解して回答いたします。
GP7000F モデル2000では、システムボード当たり4GB(32スロット) が最大で、システムでは、16x4GB=64GB が最大のメモリサイズとなっています。各システムボードでは、4Wayインターリーブとなっており、システムでは16x4Way=64way 、64バンクとなっています。



【質問】
富士通製であるからRASも向上すると期待して良いか。
【回答】
GP7000Fモデル2000は、R&D分野への適用の他に企業の基幹系システム及び社会システムへの適用も推進しています。この分野では、ハイレベルのRASが必要要件であり、この要件を満足できるシステムRAS機能の提供に取り組んでいます。
具体的には以下です。
・キーコンポーネントの冗長構成及び活性交換機構
  (システムボード、disc,電源、FAN,SCFボード等)
  SCF:System Control Function
・自動訂正機構(ECC)・・・キャシュメモリ、メインメモリ、システムバス
・故障検出時のリトライの強化、縮退機能の提供
  ・・・CPU,メモリ、IOボードへ拡大させた縮退機能を提供します。
・システムの自動起動によるダウン時間の短縮
・動作環境の認識機能の提供
・マシン管理ソフトウエアの提供
・リモートメンテナンス機能の提供
等です。



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